ロマンスに心酔



わたしの様子がいつもとちがうのは一目瞭然らしく、河野さんが思わずといったように声をかけてくる。


「おはよう青葉さん。なんかすっごい挙動不審だけど大丈夫!?」


「あ、お、おはようございます!だ、大丈夫です⋯⋯!」


「前ちゃんとなんかあったの?」


「へっ!い、いえ⋯⋯!」


そうだ、河野さんは、わたしとせんぱいが付き合っていると思ってるんだった。

ここで「きょう飲みに行くんです」と言っても、逆に「付き合ってるのに、飲みに行くだけでそんなそわそわする?」って不信感を抱かれるかも。

何とかして誤魔化さないと⋯⋯!


「喧嘩したとか嫌なことされたとか、ネガティブな“何か”ではない?」


「あ、いえもうぜんぜん⋯⋯!むしろ“いいこと”です」


「そうなの?じゃあよかった。わたしはいつでも青葉さんの味方だし、青葉さんのこと傷つけたら前ちゃんシメるから」


「こ、こわいです河野さん〜!」


「ふふ、冗談よ」


⋯⋯河野さんなら本気でやりかねない。

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