ロマンスに心酔



「それにしても、“いいこと”があってそわそわしてる青葉さん、超かわいいね。前ちゃんに見せたげたい」


「へっ⋯⋯」


思わぬ言葉に身体がますます熱くなる。


「ほっぺた赤いよ〜?そんなにいいことがあったんだね、よかったね」


「う、は、はい⋯⋯」


「うふふ。若いっていいね〜!」


「こ、河野さんもじゅうぶん若いじゃないですか!」


これから仕事だというのに身が入らないじゃないか!

火照った身体を冷ますように手で仰ぎ、お茶を一口飲んだ。


パソコンの電源を入れると、いつものようにメールをチェックする。

きょうのやることリストを立てながら、やっぱり田中さんからのメールはないなあ、とぼんやり思う。

ここ最近たくさんメールが入っていたけれど、あの水曜日をきっかけにぱたりと止まった。

代わりに誰かに依頼していればいいけれど、無理されてないかなあ、なんて、無用な心配をしてしまう。


「(⋯⋯定時で上がれるように頑張ろ)」


幸い、きょうやらなければならない業務もそう多くはない。

夜の楽しみに向け、気合いを入れて仕事に取り掛かった。

< 64 / 145 >

この作品をシェア

pagetop