ロマンスに心酔
「それにしても、“いいこと”があってそわそわしてる青葉さん、超かわいいね。前ちゃんに見せたげたい」
「へっ⋯⋯」
思わぬ言葉に身体がますます熱くなる。
「ほっぺた赤いよ〜?そんなにいいことがあったんだね、よかったね」
「う、は、はい⋯⋯」
「うふふ。若いっていいね〜!」
「こ、河野さんもじゅうぶん若いじゃないですか!」
これから仕事だというのに身が入らないじゃないか!
火照った身体を冷ますように手で仰ぎ、お茶を一口飲んだ。
パソコンの電源を入れると、いつものようにメールをチェックする。
きょうのやることリストを立てながら、やっぱり田中さんからのメールはないなあ、とぼんやり思う。
ここ最近たくさんメールが入っていたけれど、あの水曜日をきっかけにぱたりと止まった。
代わりに誰かに依頼していればいいけれど、無理されてないかなあ、なんて、無用な心配をしてしまう。
「(⋯⋯定時で上がれるように頑張ろ)」
幸い、きょうやらなければならない業務もそう多くはない。
夜の楽しみに向け、気合いを入れて仕事に取り掛かった。