ロマンスに心酔



「青葉さん、大丈夫?顔色めっちゃ悪いよ」


「大丈夫です!すみません、ちょっと寝不足で⋯⋯」


「そうなの?無理せずにね」


自分のデスクに荷物を置いた瞬間、さっそく上司の河野(こうの)さんに見抜かれた。

しっかりしなきゃ、と気合いを入れ直し、パソコンの電源をつける。


わたしが働いている総務部は、どこの部署にも該当しない仕事をすべて請け負う部署。
いわゆる“なんでも屋さん”。

ひとつひとつの仕事はそこまで大きくはないけれど、次から次へと舞い込んでくる。

会議に向けた資料作成の依頼や、前年までの細かな業務内容を確認してまとめるなど、他の部署の方々が時間を割きにくい部分のサポートが主な役割。

今日も例によって、朝から様々な依頼のメールが届いていた。


「(えーと、会議の資料は今日中に送りたい、業務の確認も時間がかかるからはやめに取り掛かりたいなあ⋯⋯)」


ふう、とひとつため息をつき、頭の中で仕事の優先順位を考えながら、キーボードを叩き始めた。

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