ロマンスに心酔



「大学の友達とは会ってる?」


「サークルの子たちはたまーに。でもやっぱりなかなか時間が合わなくて、年一回会えるかなあ、くらいです」


「そっか。きみら仲良かったよね」


「せんぱいたちも仲良しでしたよねー」


「おれらもいまだにちょくちょく会ってる」


「そうなんだ!?いいなあ、昔のつながりって大切ですよね」


「うん。青葉が入社してきたときもうれしかったわ」


「ほんとですか!えへへ。わたしもせんぱいがいてうれしかったです」


「会社だってのもあるけど、すごい大人になってて“さなちん”なんて呼べんかったわ」


「あ!それ気になってました!職場だからかなあって思ってました」


サークル仲間には、いまも“さなちん”と呼ばれているけれど。

せんぱいは上司でもあるから、もう呼ばれることはないだろうなあと思うと、少しさびしくなったり。


「いやあ、だってもう“青葉さん”だもん」


「あはは、なんですかそれ」


「でもいまは“さなちん”だな」

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