ロマンスに心酔
「んー、うめえ」
「おいしいですねえ」
のんびり歩きながらパピコを頬張る。
華金に、せんぱいと、パピコ。
大人の青春といった感じだ。
「家まで送る」
「いいんですか?ありがとうございます」
駅が見えてきたが、そのまま素通りし、わたしの家の方へ向かう。
駅から遠ざかると、だんだんと華金の喧騒が小さくなっていき、住宅街特有の静けさが訪れる。
夜空を見上げ、綺麗な月を眺めながら、楽しかったなあ、と物思いにふける。
「ストーカーはもう大丈夫そうだな」
「はい。せんぱいのおかげです」
「役に立ててよかった」
「ありがとうございました」
もうこの道を一緒に歩くことはないのだろう。
こういうときこそ、家までの道が短く感じるのはなぜなのか。
最後なんだなあ、とさびしくなりながら歩いていると、あっという間に着いてしまった。