ロマンスに心酔



───“言い忘れてた。おやすみ”


家に帰ってお風呂の準備をしているとき、スマホが鳴ったので見てみると、せんぱいからこんなメッセージが入っていた。

胸がきゅんと鳴る。


“おやすみなさい︎︎︎︎︎☺︎”


夜風やアイスのおかげで少し醒めた熱が、また蘇ってくる。


すきになっても届かないとブレーキをかけていたのに、まんまと落ちてしまった。

あんなに魅力たっぷりな姿を見せられて、落ちないひとはいるのだろうか。


叶う確率は極めて低い。かと言って、すぐに諦められるほど軽い気持ちでもなくなってしまった。

容姿、仕事、料理⋯⋯。いろんなことを頑張って、努力して、少しでも、せんぱいの隣にふさわしくなれるように。

せんぱいに、すきになってもらえるように。

せんぱいを頑張る理由にすると、どこまでも頑張ることができそうだ。


さっそく、沸いたお湯にちょっといい入浴剤を入れる。

あしたは休みだし、むくみを取るように、たっぷり時間をかけてお風呂に入った。



「(アンノン、当たりますように⋯⋯!)」

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