ロマンスに心酔
ようやくひと段落したときには、もう13時を回っていた。
「(お昼、食べなきゃ)」
一度ぐっと伸びをしてから立ち上がり、食堂を目指す。
「(つかれたなあ⋯⋯)」
歩きながらふっと気を抜いたとき、目の前をちりちりとした闇が襲う。
「(あ、やば⋯⋯っ)」
よくある貧血だ。
とっさに手すりをつかみ、その場に蹲る。
朝の予感が的中してしまった。
ぐるぐると回り続ける視界、冷や汗が止まらない。
どこか座れるところ、休憩室が近くにあったはず、と、何とか立ち上がろうとする。
───「青葉?」
なつかしい声が聞こえた。
「⋯⋯っ、せん、ぱい、」
「大丈夫?貧血か」
「っ、あ、そう、です」
「立てそうならあっちのソファいこう」
ふわっと香るなつかしい匂い。
肩を抱えられながら休憩室へと向かった。