ロマンスに心酔



7月に入っても、なかなか落ち着かなかった。

例年はそろそろ平常運転に戻るのだけれど、今年はなぜかそうも行かなそうだ。


そんか忙しさの中、ある日ふと久しぶりに洗面所の鏡で自分の顔を見ると、とんでもなくやつれていた。


「(こりゃあ、だめだ⋯⋯しばらくせんぱいに会えそうにない)」


あしたも朝から仕事が盛りだくさんなので、素早くお風呂に入り、いつも通りカロリーバーとサプリを飲んで就寝。


死んだように眠って、朝のアラームで目を覚ましたとき、嫌な予感がした。


「(さむい⋯⋯)」


クーラーがついている。
いつも寝る前に消しているのに。

布団も被ってなかったもんだから、完全にやらかしている。


すぐ身体を壊す自分が本当に恨めしい。


業務量的に休むわけにはいかないから、何とか身体を誤魔化して起き上がる。

沸かしたお湯を少しずつ飲み、身体を温める。
少しましになった気がする。

眉毛だけちゃっと描いて、着替えて髪をひとつに縛り、気合を入れて家を出た。

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