妹の彼が好きな人はおデブのお姉さんだった ~本当の事を伝えたくて~
 
 数カ月して美紀の家が火災になり母親だけが焼死体で見つかった。
 美紀は仕事に出ていて、そろそろ一人暮らしをすると言って準備していた事から家にはよりついていないとの事で無関係として処理され、母親がタバコの火の不始末で火災になったと断定された。
 
 母親の保険金が3000万かけられていた事から、美紀は金持ちになり高級マンションへ移り住み優雅な生活を送るようになった。母親と同じようにホストにハマって初めは貢いで、次第にホストに貢がせることを繰り返していた。
 
 そんな中でフローレンシアと出会い結婚。
 お金持ちのフローレンシアと結婚してセレブになった美紀だが、偶然駅前で弁護士になった幸太を目撃して「運命の人と再会した」
とはしゃぎだし若い恰好をして駅前を歩いている姿が目撃されるようになった。そして若さを保つために若いホストに入れ込みようになりホテルへ行く姿も目撃されている。
 
 その事がフローレンシアにバレてしまい浮気しているとなり離婚へ。
 離婚を切り出すと「分かったわ」とすんなり承諾したが、翌日にはフローレンシアの預金が全て引き出され持ち逃げされた。
 フローレンシアが美紀に連絡すると「…誰に連絡しているの? 私は美紀なんかじゃないわ。…美和よ…」と言って居直っていた。
 
 それっきり連絡が途絶えた美紀。

 その後は金澤美和と名乗り方々の法律事務所で勤務しているが、不審な事件を引き起こし、美和に関わると不審死する者や行方不明になる者が続出している。

 樫木法律事務所根面接に来た時は金澤美和となり面接を受けたが、不採用になり採用されたものを着けまわしていた。

 そして間もなくして採用された者が緊急入院して、代わりに雇えと言って樫木法律事務所にやって来た。

 
「なるほど…そうゆう事か。…」
 
 調査報告を読み終えた幸太は複雑だった一本の糸が繋がってゆくように感じた。



 ピピッ。
 スマホが鳴って幸太は電話に出た。
「はいもしもし。…」
(幸太。私だけど)
「姉ちゃん。どうしたの? 彼女に何かあったのか? 」
(幸太。あなた、彼女の事本気? )
「な、なに? 突然」

 頬を赤くして幸太は真っ赤な顔になった。

(本気よね? だって、もう16年以上も想い続けている人だもの)
「うん…。でも俺、きっと彼女には嫌われていると思うから…」
(そんな弱気じゃ彼女いなくなっちゃうわよ)
「え? どうゆう事? 」
(彼女の身元保証人がいるの。その人は、総有市では名の通る末森財閥の党首よ)
「あの末森財閥の党首? そっか…ただの同じ苗字じゃなかったんだ」
(さっき、彼女に会いに来ていたの。このままじゃ危険だから、あなたから離れた方がいいと言われていたわ)
「それは…彼女がいなくなるって事? 」
(ええ、そうね。彼女は金澤美和が危険人物であることを知っているようなの。あの人に狙われたら、蛇の様に纏わりついてくるわ。だから、あなたを巻き込んでしまうと思っているようね)
「…そんな事…俺は…」
(幸太。しっかりしなさい。あなたはもう、何も見えない世界にいるわけじゃないの。しっかりその両目で、見て歩けるの。愛香さんからもらった光を大切にしなさい)
「わかっているよ、そのくらいは」
(もし彼女がいなくなっても慌てないで。先ずは金澤美和を大人しくさせる事が先よ)
「…ああ…」
(大丈夫よ。自分を信じなさい。…嫌われていても、あなたの気持ちを信じるの。それにね、嫌いって気持ちは好きって気持ちと同じくらいなのよ。誤解が解ければ、彼女だってわかってくれるわ)
「分かったよ…」


 電話を切ってホッと一息ついた幸太。

「…ちゃんと伝えよう。彼女の最後の言葉を…そして、俺じゃないって事も…」

 
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