あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
お茶漬けを完食したあと、ソファでお茶を飲みながら、莉帆は禅に聞いてみることにした。
「あの、フランス行きに関して連絡を取り合っていた方に心当たりはありますか?現地スタッフの方と、岡部はメールでやり取りしていたようなのですが」
「ああ、現地のコーディネーターさんだと思う。パリ在住の日本人だ。密着取材してくれるディレクターさんとも連絡取り合っていたはずだ」
「そうなのですね!ありがとうございます。それならディレクターさんに聞いてみますね」
ようやく道筋が見えてきてホッとしていると、ふいにスマートフォンがバイブで震え始めた。
手に取って表示を見た途端、莉帆はビクッと身体をこわばらせる。
かけてきたのは和也だった。
「どうした?出ないのか?俺はあっちの部屋にいるから…」
そう言ってソファから立ち上がる禅に、莉帆は首を振る。
「大丈夫です。出る必要はありませんから」
そのままスマートフォンを操作して、かかってきた番号を着信拒否にした。
何事もなかったようにパソコンを開いてカタカタとメールを打っていると、禅が急に声のトーンを変えて聞いてきた。
「なあ、女呼んでもいいか?」
「…は?」
ピタリと手を止めて、莉帆は禅を振り返る。
(女を、呼ぶ?誰?女って)
そこまで考えて思い当たる。
「あ、彼女さんですね。はい、大丈夫です。私はそろそろ帰りますから」
「いや、今は外に出るな。もうマスコミが大勢マンションに詰めかけてるはずだ」
「あ、なるほど。では別の部屋にいますから、ごゆっくり」
「彼女じゃないけど、いい?」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。
(彼女じゃない、女とは?)
首を傾げていると、禅がひと言言い放つ。
「金で呼ぶ女」
莉帆はボッと一気に頭に血が上った。
「そそ、それって…、もしや、宅配、健康?」
「ブッ!デリヘルを翻訳するやつ初めて見た」
「あああの、それは、今はちょっと…。エントランスにマスコミもいることですし、新たなスキャンダルになると、その…」
すると禅は大きなため息をついた。
「誰のせいでこんな事態になったんだよ。そちらさんの社員のせいだろ?」
「はい、すみません」
「俺、25の盛りのついた男なんだけど。しかもこんなにむしゃくしゃした日に部屋に缶詰めにされてさ。更にまだ我慢しろって言うのか?俺が悪いの?」
「いえ、何も悪くありません」
「じゃあ、どうにかしてよ」
「どうにかとは?」
「発散させてくれ」
「えっと、お気に入りのDVDとか動画はないんですか?」
「この俺様にバーチャルで我慢しろと?」
ギロッと恐ろしい目で睨まれ、莉帆は「ひうっ!」と妙な声を発する。
「あの、どうしても生身の人間がよろしいのですか?」
「当たり前だ」
「生物学的に女なら構いませんか?たとえば、たとえばですよ?その、私…、とか?」
「仕方ない、今日のところは我慢しよう。たまにはステーキじゃなく牛丼を食べるのもいいしな」
莉帆は小さくため息をつくと、意を決して顔を上げた。
「かしこまりました。牛丼の名にかけて、低価格高品質のコスパ最強でご満足いただけるよう、尽くします」
こうして莉帆は禅に手を引かれて寝室へと連れ込まれた。
「あの、フランス行きに関して連絡を取り合っていた方に心当たりはありますか?現地スタッフの方と、岡部はメールでやり取りしていたようなのですが」
「ああ、現地のコーディネーターさんだと思う。パリ在住の日本人だ。密着取材してくれるディレクターさんとも連絡取り合っていたはずだ」
「そうなのですね!ありがとうございます。それならディレクターさんに聞いてみますね」
ようやく道筋が見えてきてホッとしていると、ふいにスマートフォンがバイブで震え始めた。
手に取って表示を見た途端、莉帆はビクッと身体をこわばらせる。
かけてきたのは和也だった。
「どうした?出ないのか?俺はあっちの部屋にいるから…」
そう言ってソファから立ち上がる禅に、莉帆は首を振る。
「大丈夫です。出る必要はありませんから」
そのままスマートフォンを操作して、かかってきた番号を着信拒否にした。
何事もなかったようにパソコンを開いてカタカタとメールを打っていると、禅が急に声のトーンを変えて聞いてきた。
「なあ、女呼んでもいいか?」
「…は?」
ピタリと手を止めて、莉帆は禅を振り返る。
(女を、呼ぶ?誰?女って)
そこまで考えて思い当たる。
「あ、彼女さんですね。はい、大丈夫です。私はそろそろ帰りますから」
「いや、今は外に出るな。もうマスコミが大勢マンションに詰めかけてるはずだ」
「あ、なるほど。では別の部屋にいますから、ごゆっくり」
「彼女じゃないけど、いい?」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。
(彼女じゃない、女とは?)
首を傾げていると、禅がひと言言い放つ。
「金で呼ぶ女」
莉帆はボッと一気に頭に血が上った。
「そそ、それって…、もしや、宅配、健康?」
「ブッ!デリヘルを翻訳するやつ初めて見た」
「あああの、それは、今はちょっと…。エントランスにマスコミもいることですし、新たなスキャンダルになると、その…」
すると禅は大きなため息をついた。
「誰のせいでこんな事態になったんだよ。そちらさんの社員のせいだろ?」
「はい、すみません」
「俺、25の盛りのついた男なんだけど。しかもこんなにむしゃくしゃした日に部屋に缶詰めにされてさ。更にまだ我慢しろって言うのか?俺が悪いの?」
「いえ、何も悪くありません」
「じゃあ、どうにかしてよ」
「どうにかとは?」
「発散させてくれ」
「えっと、お気に入りのDVDとか動画はないんですか?」
「この俺様にバーチャルで我慢しろと?」
ギロッと恐ろしい目で睨まれ、莉帆は「ひうっ!」と妙な声を発する。
「あの、どうしても生身の人間がよろしいのですか?」
「当たり前だ」
「生物学的に女なら構いませんか?たとえば、たとえばですよ?その、私…、とか?」
「仕方ない、今日のところは我慢しよう。たまにはステーキじゃなく牛丼を食べるのもいいしな」
莉帆は小さくため息をつくと、意を決して顔を上げた。
「かしこまりました。牛丼の名にかけて、低価格高品質のコスパ最強でご満足いただけるよう、尽くします」
こうして莉帆は禅に手を引かれて寝室へと連れ込まれた。