あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
「お疲れ、莉帆」
「和也さんも、お疲れ様」

マンションの玄関を開けて莉帆を中へ促すと、ドアが閉まるなり和也はいきなりキスをしてきた。

「ん…、ちょっと。どうしたんですか?急に」

両手で胸を押し返し、身体を離す。

「ごめん、ちょっと仕事で色々あって。莉帆に会いたかった」
「何かあったんですか?今日、社長に会いに来てたのもその関係?」

さりげなく会話を続けながら、莉帆はパンプスを脱いで部屋に上がる。

でなければ玄関でそのまま押し倒されそうな勢いだった。

「いや、それはまた別。禅にいい話が来てね。社長に引き受けてもいいか確認してた」
「そうなんですね。いい話なら良かったです。じゃあ他に何が色々あったの?」
「ん、話すより莉帆を抱きたい」
「そんな、だめです。夕食を作るから」

そう言って買ってきた食材を入れたエコバッグを掲げて見せると、莉帆はスリッパを借りてそのままキッチンへ向かった。

「莉帆、今日泊まってく?」

手を洗う莉帆を後ろから抱きすくめて、和也が耳元でささやく。

「ううん。着替え持って来てないから、帰ります」
「始発で帰れば?」

莉帆は、チュッと絶え間なく首筋にキスをしてくる和也を振り返った。

「和也さん。何があったか、やっぱり話してください」
「どうして?」
「何かを思い詰めてる感じがするから。ちゃんと言葉で話して欲しいです、和也さんの考えてること。そうすれば、私も何か相談に乗れるかもしれないし」
「いいよ、別に」

短くそう言うと両手を解いて莉帆から離れ、和也はソファの方へと歩いて行く。

変な雰囲気にしてしまったと小さくため息をつくと、莉帆は気を取り直して料理を始めた。
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