あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
昼食を食べたあと、届いた食料品を冷蔵庫にしまっていると、禅がスポーツウェアに着替えて莉帆に声をかけた。

「莉帆、俺ちょっと下のジムに行ってくるわ」
「そんなのあるんだね。うん、行ってらっしゃい」
「いいか?誰か来てもドア開けるなよ?」
「分かった。がんばってね」
「ああ、行ってくる」

パタンと玄関のドアが閉まるかすかな音がして、部屋は一気に静まり返る。

「さてと!仕事仕事」

莉帆はワンピースのまま、ソファの前のローテーブルでパソコンに向かう。

禅は明日までオフになったが、明後日からはいくつか撮影の仕事が入っている。

その合間に密着取材の打ち合わせで、ディレクターと会うことになっていた。

莉帆は改めて打ち合わせの日時をメールでやり取りし、禅のスケジュールを確認した。

「パリの準備も進めないと。出発は10日後だもんね」

気が急くが、落ち着いてミスのないようにしなければ。

持ち物や連絡先をリストアップして、タイムスケジュールを作る。

(私も一度うちに帰って荷造りしないとな)

マスコミはまだいても、どうにかして抜け出さなければと思いながら、カタカタと作業に集中した。
< 30 / 88 >

この作品をシェア

pagetop