あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
成美達に挨拶すると、莉帆はオフィスを出てエレベーターを待つ。
(マンションに帰る前に、スーパーで買い出しして行こう)
何を買おうかと考えていると、エレベーターが到着して扉が開く。
顔を上げた莉帆は、次の瞬間凍りついた。
「莉帆…」
そこには自分と同じように、驚いて目を見開いている和也がいた。
「待ってくれ、莉帆!」
「離してください。嫌!」
即座に踵を返して階段を駆け下りる莉帆を、和也が追いかけて腕を掴む。
「話を聞いてくれ、頼む!」
「今さら何を聞けって言うんですか?あなたのせいで、今この事務所がどんなことになっているかも分からないの?よくここに来られましたよね?」
「私物を取りに来ただけなんだ。会社は、辞めるよ」
「当たり前です。懲戒解雇処分にならなかったのが、社長の情けのおかげだとお気づきですか?もう帰ってください。これ以上社長を苦しめないで!」
「デスクを片づけたらすぐに帰る。莉帆、頼む。少しだけ聞いてくれ。俺は本当に莉帆だけを愛していたんだ」
莉帆の身体に嫌悪感が走る。
思い切り和也の手を振り払って睨みつけた。
「それを私が信じるとでも?またあなたのところに帰って来るとでも思ってるんですか?見くびらないで」
「違う、本当なんだ。確かに遊びで他の女に手を出した。それは認めるよ。だけど本気で好きだったのは莉帆だけだ。派手な女が媚びるようにすり寄って来る中、莉帆だけは純粋に俺を愛してくれた。だから俺も…」
「ふざけないで!」
莉帆は怒りで身体を震わせる。
「ちっとも分かってない。あなたは今、私を更に傷つけた。それにも気づけないの?」
「莉帆…」
「私物はダンボールに入れて自宅に送ります。すぐに帰ってください。二度とここへは来ないで」
「でも、仕事の引継ぎが…」
「必要ありません。あなたが使っていた会社のパソコンを見るだけで充分です」
そう言うと莉帆は背を向けてオフィスへと向かう。
「莉帆、頼むからもう一度…」
「もう一度?私はもう一度あなたに傷つけられなくてはいけないの?」
「違うよ、もう二度と傷つけない」
だったら!と莉帆は和也に正面から向かい合う。
「だったらもう二度と私の前に現れないで」
冷たく言い放つと踵を返し、階段を駆け上がる。
オフィスの前を通り過ぎ、廊下の奥の給湯室に駆け込むと扉を閉め、しゃがみ込んだ。
うずくまったまま身体を震わせて泣き続ける。
(忘れたいのに、忘れようとしていたのに…。どうしてまた)
声を押し殺し、莉帆はただひたすら涙を流していた。
(マンションに帰る前に、スーパーで買い出しして行こう)
何を買おうかと考えていると、エレベーターが到着して扉が開く。
顔を上げた莉帆は、次の瞬間凍りついた。
「莉帆…」
そこには自分と同じように、驚いて目を見開いている和也がいた。
「待ってくれ、莉帆!」
「離してください。嫌!」
即座に踵を返して階段を駆け下りる莉帆を、和也が追いかけて腕を掴む。
「話を聞いてくれ、頼む!」
「今さら何を聞けって言うんですか?あなたのせいで、今この事務所がどんなことになっているかも分からないの?よくここに来られましたよね?」
「私物を取りに来ただけなんだ。会社は、辞めるよ」
「当たり前です。懲戒解雇処分にならなかったのが、社長の情けのおかげだとお気づきですか?もう帰ってください。これ以上社長を苦しめないで!」
「デスクを片づけたらすぐに帰る。莉帆、頼む。少しだけ聞いてくれ。俺は本当に莉帆だけを愛していたんだ」
莉帆の身体に嫌悪感が走る。
思い切り和也の手を振り払って睨みつけた。
「それを私が信じるとでも?またあなたのところに帰って来るとでも思ってるんですか?見くびらないで」
「違う、本当なんだ。確かに遊びで他の女に手を出した。それは認めるよ。だけど本気で好きだったのは莉帆だけだ。派手な女が媚びるようにすり寄って来る中、莉帆だけは純粋に俺を愛してくれた。だから俺も…」
「ふざけないで!」
莉帆は怒りで身体を震わせる。
「ちっとも分かってない。あなたは今、私を更に傷つけた。それにも気づけないの?」
「莉帆…」
「私物はダンボールに入れて自宅に送ります。すぐに帰ってください。二度とここへは来ないで」
「でも、仕事の引継ぎが…」
「必要ありません。あなたが使っていた会社のパソコンを見るだけで充分です」
そう言うと莉帆は背を向けてオフィスへと向かう。
「莉帆、頼むからもう一度…」
「もう一度?私はもう一度あなたに傷つけられなくてはいけないの?」
「違うよ、もう二度と傷つけない」
だったら!と莉帆は和也に正面から向かい合う。
「だったらもう二度と私の前に現れないで」
冷たく言い放つと踵を返し、階段を駆け上がる。
オフィスの前を通り過ぎ、廊下の奥の給湯室に駆け込むと扉を閉め、しゃがみ込んだ。
うずくまったまま身体を震わせて泣き続ける。
(忘れたいのに、忘れようとしていたのに…。どうしてまた)
声を押し殺し、莉帆はただひたすら涙を流していた。