あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
今日は雑誌の撮影ということで、出版社の担当者、ヘアメイクやスタイリストも集まって来た。
莉帆はその一人一人に、週刊誌の件を謝罪し、改めて自己紹介する。
誰もが皆、笑顔で受け入れてくれてホッとした。
禅がヘアメイクと着替えの為に控え室に行くと、源さんが真剣な表情で莉帆に話しかけてきた。
「色々あって大変だったわね、莉帆ちゃん」
「いえ。こちらこそ皆様には多大なご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありませんでした」
「ううん、ちっとも。それにね、禅にとってはこれで良かったと思ってるの」
「え?どうしてでしょうか?」
すると源さんは、うーん、と言葉を選ぶ。
「莉帆ちゃんの同僚だった人にこんなこと言いたくないんだけど。禅ちゃん、あの人に対して段々嫌悪感を持つようになってね。駆け出しの頃からずっと一緒にいて、最初は心から信頼してたと思うの。少しずつ人気が出てきて、その度に2人で喜び合ってた。だけどあの人は、禅ちゃんが売れれば売れるほど、心が醜い人に変わっていったの。禅ちゃんはそれが心底辛そうだったのよ」
「そうだったんですか…」
莉帆は視線を落として考える。
(私があの人と一緒にいたのは、たったの1年だけ。でも禅は、デビューする前から10年近く、あの人と一緒にいたんだ)
そう思うと、自分よりも禅の方が今回の件で深く傷ついているのでは?と莉帆は思った。
(私のことを慰めてくれるけど、禅こそ大丈夫なのかな?もう充分、私は禅に癒やしてもらった。今度は私が禅の心を癒やしたい)
自分に何ができるだろう、と考えていると、源さんが顔を覗き込んできた。
「いやーん、可愛い子リスちゃん!もうおじさん、胸がキュンキュンしちゃう」
そう言うと、源さんはガバッと莉帆に抱きついた。
「わっ!あの、源さん。ちょっと苦しい…」
「莉帆ちゃんのピュアなハート、おじさんが守ってあげちゃう!」
と次の瞬間。
ベリッと源さんは莉帆から引き剥がされた。
そして地の底から響くような恐ろしい声がする。
「源さん、俺、言わなかったっけ?莉帆に手、出すなって」
190cmの禅が源さんの首根っこを捕まえ、ゴゴゴゴーと効果音を背負うように真上から睨みつけていた。
「ヒッ!禅ちゃん、早まっちゃだめよ。犯罪に手を染めないで」
「だったら莉帆に手出すな」
「わ、分かった、分かったから。ね?おじさん寿命が縮んじゃう」
禅は渋々手を離すと、スタスタと撮影用のスクリーンに上がりポジションに着く。
「ひゃー、びっくりした。あんなにマジな禅ちゃん初めて。莉帆ちゃん、愛されてるわねー」
こっそりささやく源さんに、莉帆は慌てて手を振って否定する。
「いえ、あの。全然そんなことないですから」
「あらー、隠すことないでしょ?カメラを通せば何でもお見通しよ。さてと!今日は色気炸裂、セクシーで超絶かっこいい禅ちゃんが撮れるわね。おじさん、腕が鳴っちゃう」
その源さんのセリフを、わずか数分後に莉帆は身を持って実感することとなった。
莉帆はその一人一人に、週刊誌の件を謝罪し、改めて自己紹介する。
誰もが皆、笑顔で受け入れてくれてホッとした。
禅がヘアメイクと着替えの為に控え室に行くと、源さんが真剣な表情で莉帆に話しかけてきた。
「色々あって大変だったわね、莉帆ちゃん」
「いえ。こちらこそ皆様には多大なご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありませんでした」
「ううん、ちっとも。それにね、禅にとってはこれで良かったと思ってるの」
「え?どうしてでしょうか?」
すると源さんは、うーん、と言葉を選ぶ。
「莉帆ちゃんの同僚だった人にこんなこと言いたくないんだけど。禅ちゃん、あの人に対して段々嫌悪感を持つようになってね。駆け出しの頃からずっと一緒にいて、最初は心から信頼してたと思うの。少しずつ人気が出てきて、その度に2人で喜び合ってた。だけどあの人は、禅ちゃんが売れれば売れるほど、心が醜い人に変わっていったの。禅ちゃんはそれが心底辛そうだったのよ」
「そうだったんですか…」
莉帆は視線を落として考える。
(私があの人と一緒にいたのは、たったの1年だけ。でも禅は、デビューする前から10年近く、あの人と一緒にいたんだ)
そう思うと、自分よりも禅の方が今回の件で深く傷ついているのでは?と莉帆は思った。
(私のことを慰めてくれるけど、禅こそ大丈夫なのかな?もう充分、私は禅に癒やしてもらった。今度は私が禅の心を癒やしたい)
自分に何ができるだろう、と考えていると、源さんが顔を覗き込んできた。
「いやーん、可愛い子リスちゃん!もうおじさん、胸がキュンキュンしちゃう」
そう言うと、源さんはガバッと莉帆に抱きついた。
「わっ!あの、源さん。ちょっと苦しい…」
「莉帆ちゃんのピュアなハート、おじさんが守ってあげちゃう!」
と次の瞬間。
ベリッと源さんは莉帆から引き剥がされた。
そして地の底から響くような恐ろしい声がする。
「源さん、俺、言わなかったっけ?莉帆に手、出すなって」
190cmの禅が源さんの首根っこを捕まえ、ゴゴゴゴーと効果音を背負うように真上から睨みつけていた。
「ヒッ!禅ちゃん、早まっちゃだめよ。犯罪に手を染めないで」
「だったら莉帆に手出すな」
「わ、分かった、分かったから。ね?おじさん寿命が縮んじゃう」
禅は渋々手を離すと、スタスタと撮影用のスクリーンに上がりポジションに着く。
「ひゃー、びっくりした。あんなにマジな禅ちゃん初めて。莉帆ちゃん、愛されてるわねー」
こっそりささやく源さんに、莉帆は慌てて手を振って否定する。
「いえ、あの。全然そんなことないですから」
「あらー、隠すことないでしょ?カメラを通せば何でもお見通しよ。さてと!今日は色気炸裂、セクシーで超絶かっこいい禅ちゃんが撮れるわね。おじさん、腕が鳴っちゃう」
その源さんのセリフを、わずか数分後に莉帆は身を持って実感することとなった。