あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
トップモデル
それから1週間後の午後。

「莉帆お姉さん、おはようございます!」
「おはよう、みんな。今日のウォーキングレッスンは、2番のレッスンルームね」

はーい!と元気に返事をして楽しそうに廊下を歩いて行く女の子達を、莉帆は微笑ましく見送った。

オフィスビルでは、毎日モデルの卵達にウォーキングやポージングのレッスンを行っている。

すでに165cmを超えたスラリと手足の長い女の子達は、全員がまだ中学生。

167cmの莉帆が追い抜かれるのも時間の問題だった。

(次元が違うわー。これからまだ背が伸びるなんて、末恐ろしい。9頭身とかになっちゃうんじゃ?)

そんなことを考えながら、女の子達の後ろからやって来た母親達にも挨拶する。

「おはようございます。お疲れ様です」
「莉帆さん、おはようございます。今日もよろしくお願いします」

さすがはモデルの卵達の母親だけあって、綺麗なマダムばかりだ。

(私、一般的には背が高い方なのに、ここに来るとチビになっちゃう。ガリバー旅行記か?)

そんなことを考えながら、オフィスに戻ろうと廊下を歩き出すと、突き当りにあるエレベーターが到着して扉が開いた。

まさにガリバー旅行記の世界かと思うほど、異次元にスタイルの良い男性が降りてくる。

身長190cm、長い手足に切れ長の涼しい目元。

黒髪に黒い瞳で顔立ちの整った、誰もが認めるトップモデル。

「キャー!禅よ!」

マダム達の裏返った黄色い声が後ろから響いてきた。

禅はそんなマダム達に小さく片手を挙げると、手前のオフィスに入って行く。

「ひゃー!」とマダム達の歓声が更に大きくなった。

「もう、失神するかと思っちゃった」
「空気が、オーラが、輝きが!マイナスイオンがー!」
「今、同じ空間に一緒にいられたこの奇跡を、神様に感謝するわ」

背後で盛り上がるマダム達に苦笑いしつつ、莉帆は禅のすぐ後ろにいた和也に会釈する。

和也も莉帆に頷くと、オフィスに入って行った。
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