あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
「お疲れ様、莉帆ちゃん。禅が来てるわよ」

オフィスのデスクに戻ると、向かいの席の成美(なるみ)が声をかけてきた。

172cmでモデルとしても活動している成美は、30才を過ぎて仕事が激減し、今はプレーイングマネージャーとしてオフィスでの仕事もこなしている。

「お疲れ様です、成美さん。はい、廊下で見かけました」
「珍しいわよね、禅がここに顔出すなんて。社長室に行ったから、面談かしら」
「どうでしょうね?」

所属モデルは定期的に社長と面談があるが、禅ほどのトップモデルともなると、それもパスされている。

(もしかして和也さんが話してた、禅にいい話が来てるって件かな?)

それが一体、何なのか?
今日は、どんな用事で来たのか?
それは莉帆には分からない。

いくら和也とつき合っているとはいえ、仕事に関することは互いに口にしないようルールは守っていた。

他の社員が知らないことは、莉帆も知らない。

こちらから詮索することもせず、莉帆はあくまで成美や他の社員と同じように業務をこなしていた。
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