あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜

照明と音楽が、会場の雰囲気を一気に変える。

人々が固唾を飲んでステージを見つめる中、幻想的な雰囲気に包まれながら、斬新な衣装に身を包んだモデルが颯爽と現れた。

1人、また1人と、夜の月明かりに照らされるように、モデル達は照明の中に浮かび上がって歩いていく。

夢と現実の狭間にいるような、不思議な感覚。

あのモデル達は人間なのか、幻なのか？

観客は吸い寄せられるようにその世界観に浸る。

その時。
闇夜を切り裂くように、鋭く冷たいオーラをまとったモデルが現れた。

ダークプルーのロングジャケットに、深緑にも黒にも見える色合いのボトムス。

黒髪に黒い瞳がその衣装を際立たせ、真っ直ぐに宙を見据えたその眼差しは、この世界の支配者のよう。

莉帆は息をするのも、まばたきさえも忘れて、ただその姿を追った。

手の動き、足さばき、表情や姿勢、その全てが残像となって、莉帆の目に焼き付く。

ー きっと一生忘れられない ー

それは禅が世界の頂点のステージに立った瞬間だった。