あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
翌日からは、パリの観光名所をあちこち訪れた。

エッフェル搭、凱旋門、ルーヴル美術館、コンコルド広場、オペラ座、チュイルリー公園…

どこへ行っても禅はかっこ良く風景に溶け込み、カメラマンは嬉々として禅を撮影する。

皆で楽しく気ままにおしゃべりしながら、和やかに撮影は進んだ。

シャンゼリゼ通りではショッピングも楽しむ。

本場フランスのブランドショップは建物もおしゃれで、禅がそこに佇んでいるだけで絵になった。

『クレール・ドゥ・リュンヌ』の本店でも買い物をする。

「やっぱりいいよな、ここの服。莉帆も選んで。せっかくだからリンクコーデにしよう」
「ええ?!いいよ、こんなハイブランド。私のお給料では買えないもん」
「アホ!だれがお前に金出させるかよ。いいからさっさと選べ」
「いや、ホントにいいって。それに私には似合わないから」
「なんだと?」

ギロリと恐ろしい目を向けられて、莉帆は思わずヒッ!と首をすくめた。

「お前、この俺様が選んだ女を見くびるのかよ?俺様の目は節穴じゃねえんだよ!」

冷たく言い放つと、ディレクターが慌てて駆け寄って来た。

「ちょっと、禅!こんなところでパワハラか?それに莉帆ちゃんはか弱い女の子だぞ。怖がっちゃうじゃないか。大丈夫?莉帆ちゃん。ごめんね。こいつ、根はいいやつなんだ。嫌いにならないであげてね」

莉帆は笑いをかみ殺して頷く。

「はい。嫌いにならないようにがんばります」
「ありがとう。禅にとって、莉帆ちゃんほどいいマネージャーはいないと思うんだ。これからも見捨てないでやってね」
「分かりました。見捨てないようにします」

うん、と頷いてディレクターが去ると、禅は莉帆の頭を後ろから抱えて耳元でささやいた。

「おい、莉帆。夜になったら色々とお仕置きだ。今夜も寝られると思うなよ?」

ひぐっ!と莉帆は言葉を詰まらせる。

けれどその夜も、とろけるほどたっぷりと優しく甘やかされた。
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