あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
「やあ!ゼン。ショーではありがとう。とても良かったよ」
「こちらこそ、ありがとうございました」

撮影の許可も下り、皆で訪れた『クレール・ドゥ・リュンヌ』のパリ本社で、禅はキャスティングディレクターのニコライと再会を喜ぶ。

その後ろで、莉帆はキョロキョロと辺りを見渡していた。

ピカピカで美しく、まばゆいばかりにゴージャスな建物に、思わず挙動不審になる。

(こ、ここがオフィス?宮殿にしか思えないんだけど!)

するとニコライに、やあ!リホ、と声をかけられた。

「こんにちは。ショーではお世話になりました。またお会いできて光栄です」
「こちらこそ。そうだ、心ばかりなんだけど、うちの新作のドレスを君にプレゼントするよ。出来上がるのは少し先になるけど」
「ええー?!そんな、私なんかが受け取れません」
「いや、そのうち必要になるから。楽しみにしててね」
「は?!」

莉帆はキョトンとして真顔で固まる。

(そのうち必要って?英語の聞き間違いかな)

首を傾げていると、ニコライがクスッと笑った。

「今はまだシークレットだ。期待して待ってて」

イエ…ス?と間抜けな返事をしてしまう。

その後ニコライは、真由美を介して真剣な表情で書類を見せ、禅ともやり取りして頷き合っていた。

少し離れたところから眺めつつ、何してるんだろう?と莉帆は呑気に考える。

やがて禅が書類にサインし、ニコライとがっちり握手を交わした。

「またね!リホ」

明るく見送ってくれるニコライに手を振って、よく分からないままホテルへと戻った。
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