あなたと共に見る夢は〜俺様トップモデルの甘くみだらな包囲網〜
「おかえり、莉帆。お疲れ様。どうだった?社員のみんなの様子は」
その日の夜に帰宅すると、禅は気になっていたらしくすぐさまそう聞いてきた。
「うん。最初は驚いてたけど、喜んでたよ。今まで通りの仕事をすればいいってことと、お給料がちょっぴり上げるかも?って嬉しそうにしてて。何より、梶田社長が帰って来てくれたことが嬉しくて!早く会いたいなあ。明日には会える?」
「ああ。朝からオフィスに行くって」
「そうなのね、楽しみ!でも禅ってばいつの間にこんなことを?」
「ん?梶田さんが辞任した時には決めてた。だから話したんだ。俺を拾っておきながら途中でハイさようならって立ち去る気か?最後まで見届けて落とし前つけろって」
お、落とし前?と莉帆はおののく。
「禅、梶田社長を脅したの?」
「脅してねーわ!普通にそう言っただけ」
「それを脅し文句っていうの!」
「まあまあ、いいじゃない。結果オーライでさ。ところでマネージャーには個別に話があるんだけど、説明してもいい?」
「あ、はい」
莉帆はピシッと気持ちを入れ替えて、ダイニングテーブルで禅と向かい合った。
「まず、莉帆には俺に関するマネージメント業務に専念して欲しい。既に国内だけでなく海外からもオファーが届いているから、その対応を頼む。オフィスのデスクはそのまま残しておくけど、このマンションに仕事部屋を作って主にそこで作業してもらった方が効率いいかもしれない。今一番優先して欲しい案件はこれ」
そう言って禅は、一枚のカードをテーブルの上に置いた。
場所や日時が書かれた、何かの招待状らしい。
手に取ってみると Clair de lune の文字が目に飛び込んできた。
「え、これって、パーティーの招待状?」
「そう。2週間後に都内のホテルで『クレール・ドゥ・リュンヌ』が主催するパーティーが開かれる。銀座に日本直営店第一号をオープンすると発表するらしい。そこに俺はモデルとして仕事のオファーがあった。莉帆には、ニコライから招待状が届いている。それがこれ」
「はあ…」
莉帆はついていかない頭でぼんやりとカードに目をやった。
確かに『Dear Riho』と書き出しにある。
「このパーティーに、私も行くの?」
「ああ。俺のマネージャーだしな」
「そうか、そうよね。分かった。スケジュール空けておきます」
「サンキュ。それとさ、新会社のロゴマークとホームページの開設も頼む。デザイン会社は選んであるから、莉帆がやり取りしながら進めてくれる?ある程度はもう決めてある。この中から莉帆が選んで」
莉帆は禅がテーブルに載せた、カラーで印刷された紙を覗き込んだ。
「わあ、オシャレなロゴマークだね。全部三日月がモチーフなの?」
「ああ。俺と莉帆にとって、三日月は願いを叶えてくれる大切なシンボルだから」
「禅と、私…?」
そこまで言って、莉帆はハッとひらめいた。
「もしかして、会社名の『RiZ』は…」
「今頃気づいたか?そう、Riho & Zenだよ」
ひゃあ!と莉帆は焦り出す。
「そんな、禅はともかく私の名前を取るなんて!会社名だよ?プライベートじゃないんだよ?」
「莉帆は仕事でも俺の片腕だろ?」
「だけど、もし別れたらどうするの?新しい彼女の名前に『り』がつかなかったら?社名変更?」
「アホか!それこそ公私混同だ。それにお前、俺と別れられるとでも思ってる?」
ギラッと目つきを変える禅に、スイッチを入れてしまったと悟る莉帆。
「そんなの無理だってこと、思い知らせてやるよ。ひと晩かけて、とことんな」
ひー!と莉帆は仰け反る。
だがもう分かっている。
口ではそう言っても、禅はどこまでも甘く優しく私を抱いてくれるのだ、と。
その日の夜に帰宅すると、禅は気になっていたらしくすぐさまそう聞いてきた。
「うん。最初は驚いてたけど、喜んでたよ。今まで通りの仕事をすればいいってことと、お給料がちょっぴり上げるかも?って嬉しそうにしてて。何より、梶田社長が帰って来てくれたことが嬉しくて!早く会いたいなあ。明日には会える?」
「ああ。朝からオフィスに行くって」
「そうなのね、楽しみ!でも禅ってばいつの間にこんなことを?」
「ん?梶田さんが辞任した時には決めてた。だから話したんだ。俺を拾っておきながら途中でハイさようならって立ち去る気か?最後まで見届けて落とし前つけろって」
お、落とし前?と莉帆はおののく。
「禅、梶田社長を脅したの?」
「脅してねーわ!普通にそう言っただけ」
「それを脅し文句っていうの!」
「まあまあ、いいじゃない。結果オーライでさ。ところでマネージャーには個別に話があるんだけど、説明してもいい?」
「あ、はい」
莉帆はピシッと気持ちを入れ替えて、ダイニングテーブルで禅と向かい合った。
「まず、莉帆には俺に関するマネージメント業務に専念して欲しい。既に国内だけでなく海外からもオファーが届いているから、その対応を頼む。オフィスのデスクはそのまま残しておくけど、このマンションに仕事部屋を作って主にそこで作業してもらった方が効率いいかもしれない。今一番優先して欲しい案件はこれ」
そう言って禅は、一枚のカードをテーブルの上に置いた。
場所や日時が書かれた、何かの招待状らしい。
手に取ってみると Clair de lune の文字が目に飛び込んできた。
「え、これって、パーティーの招待状?」
「そう。2週間後に都内のホテルで『クレール・ドゥ・リュンヌ』が主催するパーティーが開かれる。銀座に日本直営店第一号をオープンすると発表するらしい。そこに俺はモデルとして仕事のオファーがあった。莉帆には、ニコライから招待状が届いている。それがこれ」
「はあ…」
莉帆はついていかない頭でぼんやりとカードに目をやった。
確かに『Dear Riho』と書き出しにある。
「このパーティーに、私も行くの?」
「ああ。俺のマネージャーだしな」
「そうか、そうよね。分かった。スケジュール空けておきます」
「サンキュ。それとさ、新会社のロゴマークとホームページの開設も頼む。デザイン会社は選んであるから、莉帆がやり取りしながら進めてくれる?ある程度はもう決めてある。この中から莉帆が選んで」
莉帆は禅がテーブルに載せた、カラーで印刷された紙を覗き込んだ。
「わあ、オシャレなロゴマークだね。全部三日月がモチーフなの?」
「ああ。俺と莉帆にとって、三日月は願いを叶えてくれる大切なシンボルだから」
「禅と、私…?」
そこまで言って、莉帆はハッとひらめいた。
「もしかして、会社名の『RiZ』は…」
「今頃気づいたか?そう、Riho & Zenだよ」
ひゃあ!と莉帆は焦り出す。
「そんな、禅はともかく私の名前を取るなんて!会社名だよ?プライベートじゃないんだよ?」
「莉帆は仕事でも俺の片腕だろ?」
「だけど、もし別れたらどうするの?新しい彼女の名前に『り』がつかなかったら?社名変更?」
「アホか!それこそ公私混同だ。それにお前、俺と別れられるとでも思ってる?」
ギラッと目つきを変える禅に、スイッチを入れてしまったと悟る莉帆。
「そんなの無理だってこと、思い知らせてやるよ。ひと晩かけて、とことんな」
ひー!と莉帆は仰け反る。
だがもう分かっている。
口ではそう言っても、禅はどこまでも甘く優しく私を抱いてくれるのだ、と。