そして何もなかった

喧嘩と模試

 ある日、全国模試の結果が返ってきた。不機嫌な時にちょっかいをかけてしまい険悪な関係だったから僕は声をかけなかった。すると青子が後ろから
 「結果どうだった?」
と声をかけてきた。僕はクラスの中でも比較的成績が良かったので、少し得意げに結果を見せた。青子も自分の結果を見せてくれたが、総合では僕が圧勝だった。
  「アホやー」
と冗談半分にからかう僕。
青子は目を細めて僕の座っている椅子を突然蹴り飛ばした。軽いプラスチック製なので衝撃が座ってても直に飛んできた。
 『何するんだよー』
僕もちょい怒りぎみに言い喧嘩が始まった。 だが1個だけ言われて何も言えなかった。彼女は数学の力は僕より上だった。僕も決して苦手というわけではない。なんならまぁまぁできる方だ。だけど数学だけは叶わない。今回も数学は負けてしまった。
 「数学なら私の勝ちだし」
と彼女は反論した。僕は何も反論できないので僕もムキになって
 「総合点で見ろよ、負け惜しみだぞ」
と煽った。いつの間にか本気の喧嘩になりかけたが、先生が
 『今日はこの辺で夫婦喧嘩はおしまいで』
と終わりのコールを鳴らした。その時、ふとお互い笑顔になった。なんだか、そんな喧嘩すらも楽しく感じた。 大学生になってあんなに笑えたのは高校生だからなんだと思う。今思い出したが、放課後、その日だけ思いっきり箒で重いっきり叩かれた。相当悔しかったのだろう…。痛さと楽しさの余韻が残っていた。
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