前世で天才ピアニストだった私が、伝説の音楽の守り人！？

幻の天才ピアニスト・月山奏

静かに聞こえるピアノの音。だんだん早くなっていく軽やかなメロディー。繊細な指が驚くほどのスピードで音楽を奏でる。
日本鍵盤楽器大会は、日本で一番大きな鍵盤楽器の音楽コンクールだ。初めて出場する月島奏は最少年のコンテンテスト。物心ついた頃から難曲を弾き続け、人々を驚かせてきた。この５歳の少女は一生懸命練習してこの大会のために最高のピアノを奏でようとしてきた。もうすぐ誰も弾けないと言われてきた難しい部分。息を呑んで観客は愛らしい女の子の姿を眺め、待つ。奏の鼓動がうるさいほど聞こえてくる。
あともう少し、あともう少し…！
「キャー！！」
奏は手を止めかけたが、ピアニストとしてのプライドが手に、『動け、動け！』と命令してくる。悲鳴がどんどん大きくなっていく。かすかに煙の匂いが少女の鼻をくすぐる。
ハッと気づいた時にはもう遅かった。視界はもう真っ赤。奏はピアノとともに火の海の中で溺れてしまった。