友情ルートが恋愛ルートに変わり彼が甘々なのですが
借りた部屋着をだぼっと着るのも慣れたもの。
相手が恋人ならドキドキしているだろうに、桐島だと家族のような気持ちに近い。

「すっきりした?」

浴室を出るとキッチンのシンクに寄りかかって缶チューハイを飲んでいる桐島に、返事をする代わりに「私も飲みたい」と勝手に冷蔵庫を開ける。
相変わらず日頃、料理をする人の冷蔵庫の中だなぁなんてことを呑気に思いながら、しっかり私の好きなお酒が入っているあたり、いつ孫が来てもいいようにと好物を用意してくれているおじいちゃんかとさえ思う。


「私……なんで桐島のこと好きにならないんだろう?」


シャワーを浴びながら思ったことをそのまま口にしながら、冷蔵庫から取り出した缶チューハイを開けた。
今までも思ったことがないわけではない。
けれど、素っ気なくもいつも的を得た答えをくれる彼に疑問としてぶつけるのは初めてだった。


「いい男すぎるんじゃない?」
「自分で言う?」
「何?ちょっとはそう思ってくれてんの?」

< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop