友情ルートが恋愛ルートに変わり彼が甘々なのですが
「思うけど……。桐島に恋したことない」
「じゃあ、恋すればいいじゃん。今からでも」

どうやってと聞き返すより先に、振り返るとこちらへと迫ってくる桐島に後ずさりする私はあっという間に壁まで追いやられた。
トンと、桐島が片手を壁に押し当てて顔を近づけて来る。


「よ……酔ってる?」


びっくりしてそう訊ねると、桐島は持っていたチューハイの缶を私の目の前に差し出し見せた。
『ノンアル』と書かれたパッケージを見て私は、物理的のみならず逃げ場をすべて失ってしまったかのような気分でポカンとしてしまう。


「こっちが訊きたいんだよね。どうして(ゆい)は俺のこと好きにならないのか」


そう言って、私の答えを待つより先に桐島の唇が私の唇に重なった。
触れるだけの口づけのあと、桐島の唇がちゅっともう一度私の唇を啄む。


「いいの?嫌がんなくて?」
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