まがりかどは、秋の色
「すんごおーく魅力的なお誘いなのですが、今のバイトも好きなので遠慮します……」

「残念です。何のバイトをされてるんですか?」

「結婚式場で聖歌隊をしてます」

「聖歌隊!? 歌お好きなんですか?」

「歌うの好きですね」

「楽しそうですね、今度うちでも歌ってください」

「それは荷が重いっていうか、一人だと不安だというか」

「ギターでよければ俺が弾きますよ」


わあ、あの楽譜の一部は本多さんだったんだあ。って違う違う。


提案にびっくりしすぎて一瞬違う方に飛びかけた思考を、なんとか元に戻す。


「ええと、あの、歌じゃなくて店員さんがやってみたいというか、不定期のボランティアならできるんですけど」

「ボランティアは嬉しいですけど、本は選べないですよ。選書権は『わたしの本棚』コースにならついてるので、ご寄付をお待ちしております」


にっこり笑って話を締められた。うぐ、うぐぐ。商売上手め。
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