まがりかどは、秋の色
「…………」
そうと分かられないように唇を噛んだ。そっと逃した息が、喉に詰まって呼吸が浅くなる。
きっと他意なんてない。するりと落とされた言葉なのに勝手に期待してしまうのは、わたしの下心のせいだ。
ほんとうに真摯に言ってくれているのは分かる。分かった。でも、勝手にドキドキしてしまう。
本多さんが親切心百パーセントすぎて困る。善意に後ろめたくなってごめんなさい。
なんとかお礼を言って、いろいろ探してもどうしても分からなかったらお願いするかも、とお茶を濁した。
「いつでもご遠慮なくどうぞ!」
「はーい」
表面上はにこやかに取り繕う。
いやあ、遠慮はしちゃうかもしれないです、すみません。
わたし、本多さんから、わたしが大学生だって忘れられてる気がする。読み聞かせをするときの、小さい子を相手にしたみたいなピカピカの笑顔すぎる。
その後「児童書」やら「絵本 有名」やらで検索したり、図書館の関連していそうな本棚をブラウジングしたりと何ヶ月も探したのだけれど、結局見つからなかった。
本のタイトルを勘違いしているとか、何かを見落としているとかかなあ。
意を決してまだ見つからないので探したい、お邪魔させてほしいと持ちかけると、やっぱり変わらない軽やかさで頷かれた。
……う、うーん。
そうと分かられないように唇を噛んだ。そっと逃した息が、喉に詰まって呼吸が浅くなる。
きっと他意なんてない。するりと落とされた言葉なのに勝手に期待してしまうのは、わたしの下心のせいだ。
ほんとうに真摯に言ってくれているのは分かる。分かった。でも、勝手にドキドキしてしまう。
本多さんが親切心百パーセントすぎて困る。善意に後ろめたくなってごめんなさい。
なんとかお礼を言って、いろいろ探してもどうしても分からなかったらお願いするかも、とお茶を濁した。
「いつでもご遠慮なくどうぞ!」
「はーい」
表面上はにこやかに取り繕う。
いやあ、遠慮はしちゃうかもしれないです、すみません。
わたし、本多さんから、わたしが大学生だって忘れられてる気がする。読み聞かせをするときの、小さい子を相手にしたみたいなピカピカの笑顔すぎる。
その後「児童書」やら「絵本 有名」やらで検索したり、図書館の関連していそうな本棚をブラウジングしたりと何ヶ月も探したのだけれど、結局見つからなかった。
本のタイトルを勘違いしているとか、何かを見落としているとかかなあ。
意を決してまだ見つからないので探したい、お邪魔させてほしいと持ちかけると、やっぱり変わらない軽やかさで頷かれた。
……う、うーん。