まがりかどは、秋の色
ドラマ化もされた女用心棒が活躍するシリーズのポストカードがあったり、全部で十一個、猫のぬいぐるみがあったり。
本多さんの家は、至るところが本好きと分かるものたちであふれていて、穏やかで賑やかだった。
飾ってあるということは、見てもいいということ。宝の山……!
わくわくするおうちだ。
わああ、ときょろきょろしながら、地下室まで案内してもらう。本も資料もたくさんある、宝箱みたいな部屋。
「お邪魔します!」
「はーい、どうぞ。児童書はこっちです」
窓のない書庫にはずらりと本棚が並び、ちゃんと分類ごとに小さく掲示が出ていて、私設図書館めいている。
いいなあ。日焼けしにくいうえに、収容数が多い車庫、最高だなあ。
「図書館で借りたんですよね、取り寄せはしましたか?」
「いえ、ブラウジング中に見つけたので、希少本ではないと思います」
確認のための一問一答が始まった。
「短編ですか、長編ですか」
「短編です。外国の教訓? 昔話? が集められたシリーズで、絵はあまり描かれていなくて……」
「どういうお話なんですか?」
「ちゃんと覚えてなくて。だから読み返したいなーと」
本多さんは、普段、文庫で子どもたちの要望に答えている。そのせいか、手慣れた言葉選びで端的な質問が続く。
仕事めいた雰囲気に、お休みのときまで付き合って探してもらって、なんだか申し訳なくなってきた。
なるべく早く見つかるよう、できるだけ明瞭に、てきぱき答える。
「なるほど。何が出てきたかは思い出せますか」
「キャベツだかレタスだかチーズだかを積んで、船に乗って航海するんです。猫とねずみが出てきたような気がします」
「海が出てくる外国の昔話なら、まずは海が身近な国から探しましょうか。昔話とか説話とかはこのあたりですね」
「はい!」
本の最初の方のページに載っていたことも確実だと伝え、とにかくざっと内容を確認するのを繰り返した。ひたすら読み込む。
片端からページをめくる音だけが響いた。
本多さんの家は、至るところが本好きと分かるものたちであふれていて、穏やかで賑やかだった。
飾ってあるということは、見てもいいということ。宝の山……!
わくわくするおうちだ。
わああ、ときょろきょろしながら、地下室まで案内してもらう。本も資料もたくさんある、宝箱みたいな部屋。
「お邪魔します!」
「はーい、どうぞ。児童書はこっちです」
窓のない書庫にはずらりと本棚が並び、ちゃんと分類ごとに小さく掲示が出ていて、私設図書館めいている。
いいなあ。日焼けしにくいうえに、収容数が多い車庫、最高だなあ。
「図書館で借りたんですよね、取り寄せはしましたか?」
「いえ、ブラウジング中に見つけたので、希少本ではないと思います」
確認のための一問一答が始まった。
「短編ですか、長編ですか」
「短編です。外国の教訓? 昔話? が集められたシリーズで、絵はあまり描かれていなくて……」
「どういうお話なんですか?」
「ちゃんと覚えてなくて。だから読み返したいなーと」
本多さんは、普段、文庫で子どもたちの要望に答えている。そのせいか、手慣れた言葉選びで端的な質問が続く。
仕事めいた雰囲気に、お休みのときまで付き合って探してもらって、なんだか申し訳なくなってきた。
なるべく早く見つかるよう、できるだけ明瞭に、てきぱき答える。
「なるほど。何が出てきたかは思い出せますか」
「キャベツだかレタスだかチーズだかを積んで、船に乗って航海するんです。猫とねずみが出てきたような気がします」
「海が出てくる外国の昔話なら、まずは海が身近な国から探しましょうか。昔話とか説話とかはこのあたりですね」
「はい!」
本の最初の方のページに載っていたことも確実だと伝え、とにかくざっと内容を確認するのを繰り返した。ひたすら読み込む。
片端からページをめくる音だけが響いた。