まがりかどは、秋の色
『もも、今どこ?』

『尚ごめん、講義の後にレポートを書いてたら遅くなって、あたり一面黒い山みたいになっちゃった。今日はまがりかどに行けなさそう』

『了解。お疲れ、気をつけて帰ってね』

『ありがとう。ちゃんとおやつは一つまでにしておきます』

『もし帰れなくなったら連絡ください。ボーダーの服着て迎えに行きます』



「ん? 何、尚、変な顔をしてどうしたの。何かあった?」

「今ももが読んでる本の続きを持ってるから貸そうかって言おうとしたけど、俺が持ってるの電子書籍だった……」

「分かった、自分で買うから大丈夫」

「ごめんー! スマホ貸す?」

「いや、いいよ。わたしが読んでる間に誰かから連絡でも来たら気まずいよ」

「そっか、じゃあやめとく。……おかしいなあ、置き場所には困らないから、大抵紙で買うんだけどなあ」

「本好きが言ってみたい台詞ナンバーワンすぎるでしょ」

「先は長いからさ、ひとまず一巻読み終わったら話そ」

「話そう話そう」
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