可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
ぬいぐるみの繋いだ縁。
初めての環境と,衝撃的な出会い。
『2ー2』
「ーから転校してきました。南 翠です。この教室で過ごすのは残り半年ほどだと思いますが,よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて,私は知り合いのいない教室に向き合う。
さらりと流れたロングの黒髪からクラスメートを見つめると,各々小さな声で私を見ながら何か言っていた。
大丈夫,大丈夫。
またここでも,きっと上手くやれる。
思ったより少ない反応に不安になっていく心を顔に出さないように努めて,私は白板の前に立ち続けた。
気を張り詰める私に,担任の先生が声をかける。
指し示された席に座ると,ようやく解放されたような気がした。
はっと思い出して,取り敢えず隣の女の子へと顔を向ける。
まだだ,まだ緩めちゃいけない。
全体ではなく,個人に。
ちゃんと挨拶しなくちゃ。
「「あの」」
目があって,けれど思いがけず言葉が重なってしまう。
曖昧に笑いかけると,相手はくすりと笑った。
「ねぇ,すごく遠くから来たんだね! どうしてこの学校にしたの?」
「あ……家から近いのと,自分の学力から適当に……」
「ーから転校してきました。南 翠です。この教室で過ごすのは残り半年ほどだと思いますが,よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて,私は知り合いのいない教室に向き合う。
さらりと流れたロングの黒髪からクラスメートを見つめると,各々小さな声で私を見ながら何か言っていた。
大丈夫,大丈夫。
またここでも,きっと上手くやれる。
思ったより少ない反応に不安になっていく心を顔に出さないように努めて,私は白板の前に立ち続けた。
気を張り詰める私に,担任の先生が声をかける。
指し示された席に座ると,ようやく解放されたような気がした。
はっと思い出して,取り敢えず隣の女の子へと顔を向ける。
まだだ,まだ緩めちゃいけない。
全体ではなく,個人に。
ちゃんと挨拶しなくちゃ。
「「あの」」
目があって,けれど思いがけず言葉が重なってしまう。
曖昧に笑いかけると,相手はくすりと笑った。
「ねぇ,すごく遠くから来たんだね! どうしてこの学校にしたの?」
「あ……家から近いのと,自分の学力から適当に……」
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