可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。


正しくは,知ってはいる。

知ってはいるけど,聞き間違えていたら恥ずかしい。

それに,秋先輩と違って名乗られてもないのに,呼んでいいかも分からない。

そう思って見上げると,先輩は失念してたとばかりに沈黙していた。

そしてこほんと咳払いをして,改める。



「巴 光。三つ巴の巴に,名前はそのまま光。好きなものは可愛いもの」



ついでにインタビュー形式で聞いてみる。



「嫌いなものは?」

「人間」



ひゅっと喉がなった。

だから最初にあんなに冷たかったんだなと,先輩のキャラの濃さを認識する。

とんでもない人と,お友達になってしまった。

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