可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
はも先輩と"可愛いもの"
結局,私は1日ジャージでの生活をすることになった。
天気はとっくに快晴で,なのに,お昼になっても気分は晴れない。
お昼を広げながらまだ沈んでいると,今度は廊下から声がする。
「翠ちゃーーんっ。お昼食べよ~ー?」
はも先輩の元気な声。
ぱっと顔をあげる。
泣きつきたくなる気持ちを押さえて,丁度開け始めていたお弁当を,パカリと再度閉めた。
急いで駆け寄るも,もちろんそんなことしなくても先輩達は逃げたりしない。
「はも先輩!!! それに,秋先輩も!」
横を見ると,にゅっと出てくる秋先輩。
「どうしたんですか? 急に……」
「どうせボッチ飯だろうって,秋が」
はも先輩がぴっと秋先輩の方へ指を指す。
ボッチ飯なんてひどい,とぱちり瞬くと,秋先輩は示されてびくりと肩を震わせる。
驚いてる……
きっと秋先輩じゃなくて,はも先輩が言ったんだろうな。
それで,わざわざ迎えに来てくれたんだ。
「どこで」
「ケーキ」
食べようか,といいかけて。
なるほどと思い浮かぶ場所。
「! ふふ。はい。行きたいです。ちょっと待ってください」