可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
「はい。昨日の放課後,買い物に行って。でも,リボンを足したくなったので」
完成形について考える。
可愛すぎるかと思いつつ,はも先輩のカバンを見てやると今再度決めた。
デザインを思い返し,それに合う色は何かと頭の中が一杯になる。
「翠ちゃん」
「はい?」
「ありがと」
その言葉にふっと力が抜けて,私は微笑んだ。
「久しぶりに考えてみて楽しかったので,いいんですよ」
そう言って貰えると,すごく嬉しい。
疑っているわけじゃない。
でも先輩を見ていると
「本当に好きなんですね」
「うん」
何度もそう思う。
そして,少しだけ羨ましいとも。
先輩は私からの褒め言葉にも近い言葉に,にこりと笑った。
「"可愛い"は僕の大事な友達だからね」
まだ話していたかったけど,チャイムがなり,教室へ戻る。