可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。

……あ。

けれど横をみると,なんともバツの悪そうな顔をした花塚さんが困ったような顔で返事を出来ないでいた。

単にめんどくさいと言うよりは,なにか用事あるのだと直ぐに分かった。

申し訳なくて,皆の待っているこの時間が恥ずかしい。



「いや,無理なら咲哉(さくや)でも」

「俺?!」



2人いる学級委員のもうひとりは,男の子らしかった。

花塚さんの雰囲気を察した先生がもうひとりの名前を挙げると,すかさずとぼけたように1人の男子が声を挙げる。

私は思わず,咲哉くんに遅れをとる形で口を開いた。



「あの……先生,私大丈夫です。校内を回るだけなら,ひとりでも。ひとりで,回ります」

「……分かった。じゃあ今日のHRはこれで終わりだ。1限に遅れるなよー」



ガタガタと動き出す。

私もそれに合わせて,自分のロッカーへと向かった。

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