可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
「あなた,光くんに会いに行くの?」
なんて答えていいか分からない。
この人にならいいのか,場所を言わなければいいのか。
そんな私をみかねてか,先輩の方が早く言葉を発した。
「第三校舎の誰も知らない突き当たりの教室。私たちなんて,追ってくるなとさえ言われて,それを破った昨日まで知らなかったわ」
何か言い返すべきかと戸惑いながらも,相手の様子の方が気になる。
他人から初めて聞くはも先輩も,私に接するはも先輩からは想像も出来なくて……。
だけど,思い出すファーストコンタクト。
そして,他人を遠ざけようとする言動。
もしかしたら,はも先輩にも何か理由があるのかもしれない。
じゃないと,気を許してくれただけで,あんなに態度を変えられるわけがない。
「でも,聞いたの。あなた自分の教室まで光くんに迎えに来て貰ったんでしょう」
きっと睨まれて,私は思わず後ずさりをした。
「よく,考えたわよね。光くんの趣味を利用して」
「えっ」
初めて返した反応らしい反応。
視線を追うと,相手は私の手元を見ている。