可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
はも先輩への気持ち。
これは"デート"?
地球が高速で回ったのかと思うほど,あっという間にやって来た指定された日曜日。
「き,来てしまった……けど,どうしたら」
思い返すのは,はも先輩との会話。
『翠ちゃんはもっとわがまま言ってもいいんだよ? だから,1日一緒にいて,わがままに慣れて貰おうと思って!』
『あっもうすぐ鐘が』
そうやって逃げようとしたら。
くすくすと笑って。
『翠ちゃん,またね~。明後日,--駅前ね!』
そう取り付けられてしまったのだ。
"僕と",先輩はそう言った。
普通に考えれば,秋先輩はいないだろうと思う。
秋先輩は秋先輩で,聞かないふりをしていたし。
気にしてくれたのはありがたいけど,それなら……
くるくるといじるのは,はも先輩がデートだなんて言うから巻いてきてしまった髪の毛。
男の子とも違う,男の人。
それも,年上の……
周りの子と違って,私にはそんな経験はない。
……だめだめっ。
先輩は今までそういう風に見られるのが嫌だったのかも。
私は髪を手でほぐして,戻そうとした。
やっぱりいつも通りでいよう。
まだ早いし,1度お手洗いで……
と顔をあげたところで,はも先輩を見つける。
いつも通り微笑まれて,どきりとする。
はも先輩の私服,かっこいい。
白いTシャツに,チェック柄の薄い上着がとても可愛い。
黒のジーパンも,先輩が可愛いだけじゃないって言うように,かっこよさを引き立てている。
そんなことまで,まじまじとみてしまう。