可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。



「私は,本当はあんまり来たことないんです。でも最近,インスタでよくコツとか紹介してるアカウントが流れてきて」

「ずっとやりたかった?」



白状するのが恥ずかしくて,こくんと頷く。



「そっか。獲れるといいね」

「はい」



狙って,狙って。

最初に近づけて,そのつぎの時に……

色々,策を考える。

大きくてもふもふでさらさらそうな,クマを狙って。

先輩が抱きついているシーンが目に浮かぶ。



「あっ」



先輩が声をあげた。

その理由は。



「わあっすごいすごい! 落ちたよっ翠ちゃん!」



何度かかけて獲ろうと思っていた。

自分では時間がかかるだろうと思っていた。

でも



「わ,あ!! すごいっはも先輩,見ましたか?! 1発で,こんなに大きなクマが1回でとれました!!」

「う,うん」



振り返ると,目を丸くした先輩がいた。

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