可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。


「翠ちゃん,最後にもう一ヶ所いい?」

「! はい!!!」



動物はみんな見てしまったけど,もう一度どこかに…?



「やっぱり最後はこれに乗りたいよね~っ。翠ちゃんは高いところすき?」

「はい,好き……です」


観覧車!!!!

でももう,帰らなくちゃいけないんだな。

乗り込みながら実感してしまう。

目の前に先輩が座ってる。

なんだか,ふしぎ。

疲れてるはずなのに,お互いそんな感じがしない。



「ん?」



声が,やさしい。

先輩,夕日で……きれい。


「あ,そうだ! 忘れちゃうところだった!!」



はっっと,手のひらで口をおおう先輩。



「はいこれどーぞ! 今日に間に合ってよかったぁ」

「あの……これ?」



可愛らしいラッピングから飛び出したのは,小さな洋服。

ぬいぐるみサイズの……



「僕がねえ,あげた子と同じサイズなんだよっ」

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