可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。


「そ,それはありがたく……あでもそうじゃなくて。どうしてこの部屋に?」

「翠ちゃんのままさん,優しいよね」



その一言で全てが分かる。

案内して,起きてないと思ってた上で。

通したの。



「そういえばなににやにやしてたのー? なんか楽しそうだったよね」

「あ。それが」



やっぱり見られてた……!!!

全部説明する。



「良かったねえ」



穏やかに微笑まれる。



「ゼリー,食べる? それとも冷やしておいて貰う?」

「たべ,ます」



せっかくだし。

ぺりぺりとふたを開ける先輩。



「あっ私」

「いーのいーの。そのまま座ってて」



わざわざ開けて貰うなんて……

そう思ったけど,私に渡さなかった理由は他にあったらしい。
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