可愛いものが好きな先輩は,ちっとも可愛くない。
「だって,ねえ?」
「?」
「あんな表情と瞳で見つめられちゃったら,誰だって分かるよぉ」
けたけたと笑う先輩だけど,全く聞き流せない。
じゃあ秋先輩も気付いて……?
先輩が私のこと好きって,本当なの?
「もし,僕と付き合ってくれるならさー。そしたらさ,今よりもっと,ずっと一緒にいようね~。毎日待ってるから,一緒に学校行って,ケーキ食べて。僕が卒業しちゃっても,僕頑張って免許とるから,いっぱいデートしよーねぇ」
私っまだ何も言ってないのに……
なんで目の前で先輩の妄想を聞かされているんだろう。
無駄に具体的なのはなに。
ずっとって,デートって,1年後の話まで……
でも私,だめだ。
こんな風に急に前のめりに来られても。
もう,断ろうなんて思えない。
「お願いします……はも先輩。先輩の言う通り私,先輩のこと,好き……です」
今日は一日寝て終わるはずだったのに。
先輩が来て,こんな告白までして,こんなパジャマ姿で……パジャマ,で。
先輩の反応を見ることもできない。