御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「双子をひとりで産んで育てるつもり? いろいろ無理すぎるでしょ」

自分が双子だったから余計に想像がつくのだろう。ましてやシングルマザーなんて自分でも無茶だとは思うけれど……やるしかない。

「大丈夫。私、頑張るから。命にかけてもふたりを守るから」

やる気を表現したつもりだったのに、逆に紅葉の逆鱗に触れてしまった。

「いや、命かけられても困るから。気合いでなんとかなることじゃないから。そもそも楓が倒れでもしたら、子どもたちどうするの? だいたい頑張ればどうにかなるって、俺、そういうぼんやりしたの一番嫌。生活のこともお金のこともちゃんと算段がついてる?」

ああ、すごく現実的で正論。両親に頭ごなしに怒鳴られたときより、よっぽど精神的に抉られる。

紅葉の言うことは、だいたいいつも正しいのだ。これではどっちが先に生まれてきたのかわからないな。まあ、数分の差だとは思うけれど。

「うちに来なよ。空いてる部屋もあるし」

そして結局は優しい。なんだかんだ言いつつも私の気持ちを尊重してくれるのが紅葉だ。

「いや、でも……ダメだよ、紅葉に迷惑かけるわけには――」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。本気で産みたいなら、利用できるものは全部利用しなよ。仕事だってしばらくはできないんだから。これからどんどん出費がかさんでいくのに、今、貯金使い切ってどうするのさ。だいたい楓はいつも意地張って行き当たりばったりで――」

また滔々とお説教が始まってしまった。でも全部正しいから、なにも言い返せない。

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