御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「それに、ひとりで出産する自信あるの? 陣痛が来たらひとりで対応できる? 破水したら冷静でいられる?」

両親に尋ねられたなら、意地を張ってでもできると言っていただろう。けれど、生まれたときからずっと一緒にいる紅葉には、強がっても無意味だ。

「……ちょっと自信ない」

「だろ?」

叱られ諭され、結局、出産を終えて仕事が決まるまでの間、紅葉の世話になった。

紅葉の仕事は基本的に在宅勤務だ。朝は七時に起きて情報収集、取引が開始される九時から数時間は部屋にこもり、お昼には部屋から出てきて昼食を取る。

午後からは明日に向けて市場調査などをするらしく、比較的気ままに働いているみたい。たまに同業者やお偉いさんとの食事会があるらしく、出かけていく。

紅葉に生活費を出してもらう代わりに、私はせめて力になれたらと家事をこなした。紅葉は家が勝手に綺麗になって、美味しい食事が出てくると喜んでくれた。

「なんだか自分が情けないよ。ひとりで全部やるつもりだったのに、紅葉の世話になって」

「楓は俺が勘当されたとき『なにかあったら頼って』って言ってくれたじゃん」

「それ、逆じゃん……」

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