御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「じゃあ、前貸しだ」

返すあてのない壮大な借りができてしまった。

ふたりで生活し始めて数カ月、私たちは誕生日を迎えて二十六歳に。それから少し経った冬の日に、柚希と柑音が生まれた。

紅葉は健康に生まれてきてよかったと言いながらも、元気過ぎる赤ちゃんたちを前にどうしたらいいだろうと困惑している様子。

加えて、出産で体力を奪われた私はぐったり。てんやわんやの育児がスタートした。

体調が戻ってすぐに仕事と保育園を探し始め、幸い、いい働き口が見つかって、子どもたちを預ける先も無事に決まった。

ワーキングママになって三カ月、まだまだ慌ただしいながらもなんとか生活が落ち着いたので、私たち三人は紅葉の家を出て保育園の近くに引っ越すことに。

シングルマザーの生活は苦しい。体力的にも精神的にも、経済的にも。

でも紅葉が頻繁に助けに来てくれるし、心配した兄たちからも、出産祝い、一カ月記念や百日のお祝い、ハーフバースデーなど、なにかしらの体でお祝い金が届き、なんとか生活していけた。




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