御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
第四章 そっくりですが、あなたの子ではありません
あれから二年。柚希と柑音は二歳半になった。父親のいない生活が当たり前で、私もシングルマザーとしてふたりを育て上げる覚悟を決めた。なのに――。
暗い部屋にふたつの寝息。日中、海辺ではしゃぎ回ったふたりを寝かしつけながら、思わずぽつりと漏らす。
「……どうしてあんなことを言ったの?」
再会した皇樹さんが放った言葉が頭から離れない。
『ずっと探していたんだ』『俺は待っていてほしいと言ったはずだ』――まるで再会を心待ちにしていたかのような台詞。
「良家の令嬢と政略結婚をして、父親の跡を継ぐんじゃなかったの……?」
ほんの少し、期待してしまう。まだ彼は私を愛してくれているのではないか。子どもたちの父親になってくれるのではないか……。
婚約指輪は捨てられず、衣装ケースの奥底に眠っている。自然とそちらに目線が流れていって、考えを振り払うかのように自身の頬を叩いた。
彼の幸せを願うと決めたのだ。未練がましくしてはいけない。
「もしかしたら、謝りに来てくれたのかな」