御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
モノトーンのシンプルモダンな玄関は、オシャレに無頓着な紅葉に正直似合っていない。せっかく巨大なシューズボックスもあるのに中身はスカスカだ。

革靴二足にスニーカー二足、サンダルとトレッキングシューズがひとつずつ。

ひとつ買ったらひとつ捨てる、必要なものが必要な数だけあればいいというタイプだ。ただ革靴とスニーカーは履けなくなったときのために必ず予備を用意しておく周到さ。

そんな几帳面な紅葉は、靴をきちんとボックスにしまうのだけれど、今日は革靴が一足だけ外に出ていて、あれ?と私は首を傾げた。

最近、スーツで外出でもしたのだろうか。仕事柄、企業の重役と会食なんかもあるらしく不思議なことではないけれど。

それにしても、随分高級そうな革靴だなあ。こんなオシャレな靴、持っていたっけ? サイズもちょっぴり大きそうだし。

違和感を覚えつつも、私は玄関を上がり、リビングに向かう。

二十畳を超える広々としたリビング。夜はローテーブルやソファを端に寄せて、布団をふたつ敷いて三人で眠る予定だ。柚希と柑音はごろごろ転がるから、私は端っこで小さくなって眠ると思う。

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