御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
なんの気なしに部屋の奥に目をやると、壁一面の大きな窓の前に人影を見つけて、驚きからびくりと震え上がった。
誰かいる! 紅葉? ……ううん、違う。艶やかな黒髪も、一八〇センチをはるかに超えるすらりとしたうしろ姿も、うちの弟じゃない。
ブラックのスーツを纏うその男性が、ゆっくりと振り返る。
「楓」
整った麗しい顔立ちに、甘みを含んだ伸びやかな低音ボイスは、間違いようがない。
「皇樹さん……!」
どうして彼が……!? 状況が理解できなくて、一歩、二歩とあとずさる。
「紅葉くんに頼んで、時間をもらったんだ。少しでいいから、逃げないで話を聞いてくれないか」
再会したあの日、紅葉が彼の名刺を懐にしまい込んだのを思い出す。まさか、あれを使って連絡を取ったの?
「ちょ……え、待っ……」
私はすぐさまバッグからスマホを取り出し、紅葉に電話をかける。
「――もしもし、紅葉!? 一体どういうこと!?」
『あー、楓。皇樹さんに会えたー?』
朗らかな声が響いてきて、眩暈がした。紅葉が家に皇樹さんを招き入れたのは、間違いじゃなさそうだ。
「『会えたー?』じゃないでしょ!? なに考えてるの?」
誰かいる! 紅葉? ……ううん、違う。艶やかな黒髪も、一八〇センチをはるかに超えるすらりとしたうしろ姿も、うちの弟じゃない。
ブラックのスーツを纏うその男性が、ゆっくりと振り返る。
「楓」
整った麗しい顔立ちに、甘みを含んだ伸びやかな低音ボイスは、間違いようがない。
「皇樹さん……!」
どうして彼が……!? 状況が理解できなくて、一歩、二歩とあとずさる。
「紅葉くんに頼んで、時間をもらったんだ。少しでいいから、逃げないで話を聞いてくれないか」
再会したあの日、紅葉が彼の名刺を懐にしまい込んだのを思い出す。まさか、あれを使って連絡を取ったの?
「ちょ……え、待っ……」
私はすぐさまバッグからスマホを取り出し、紅葉に電話をかける。
「――もしもし、紅葉!? 一体どういうこと!?」
『あー、楓。皇樹さんに会えたー?』
朗らかな声が響いてきて、眩暈がした。紅葉が家に皇樹さんを招き入れたのは、間違いじゃなさそうだ。
「『会えたー?』じゃないでしょ!? なに考えてるの?」