御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
静かにかぶりを振ると、皇樹さんは「そうか」と頷き俯いた。考えを巡らせるように、腕を組んで視線を下げる。

納得してくれたのだろうか? 彼の心の内が読めなくて、少しだけ怖い。

「……その大きな紙袋は? 洋服?」

ふと彼の視線が私の手もとに向かう。大きな紙袋を担いでやってきたから驚いたのだろう。

私は「ああ、これは――」と説明して紙袋を開けた。

「仕事で使う服です。撮影が終わったら、もらえることになっていて」

「以前働いていたメーカーは辞めたと聞いたが……モデルでもしているのか?」

「ただの販売員ですよ」

そこではたと気づく。

「……私が仕事を辞めたって、よくご存じですね」

「楓の行方をずっと探していたから」

ドキンと胸が震える。

動揺を押しころし「今は、小さなアパレルショップでパートをしています」と説明した。

「このロゴのお店? ファニー……グランマ?」

「ええ。子供服のお店なんです。親子のコーディネートなんかも取り扱っていて」

子どもたちの秋服を取り出す。ベージュのニットに赤いタータンチェックのボトムス。女の子はキュロットで、男の子はショートパンツだ。

< 114 / 255 >

この作品をシェア

pagetop