御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
「男女の双子ってお揃いを着せるとすごく映えるから。モデルを雇うよりもかわいいし売上が伸びるからと、宣伝を任されているんです。その謝礼として服をいただいていて」

私が着るのは子どもたちとお揃いのタータンチェックのシャツにベージュのニットワンピだ。

そして、紙袋から最後に出てきたシャツとチノパンは明らかにメンズのサイズで、私は「あっ」と声を漏らした。

「こ、これは、主人が着るんですっ。紅葉じゃないですよっ」

いもしない『主人』を捏造してしまった。しかもなんか余計なひと言を言った気もする……。

皇樹さんは冷静に「そう」と頷き、静かに切り出した。

「三年も君を放り出して、仕事をしていた俺が心配する権利など、ないのかもしれないけれど――」

彼がこちらに向ける真っ直ぐな眼差しに思考を奪われる。

「今、幸せか? 苦労はしていない?」

思わず声に詰まり、ごくりと息を呑んだ。

今、私は幸せだ。皇樹さんが残してくれたふたりを大切に育てながら、姉思いの弟に助けられ、この上なく恵まれていると思う。

けれど、もしも許されるとするならば私は――。

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