御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
そのとき、部屋の外でガチャッと、玄関のドアの開く音が聞こえた。同時に「ただいまー!」という元気な声がふたつ。ちょっぴり疲れが混じった「帰ったよー」という声も。

ドタタタタという激しい足音が響いて、二匹の怪獣が廊下から飛び出してきた。

「あ!」

柚希が私の左足に飛びつきながら、皇樹さんを指さす。

「出たな、わるもの!」

そのうしろから、柑音が半泣きで私の右足に縋りついてきた。

「ママをいじめないでえ~」

泣き声と叫び声がリビングに響き渡る。

「ああ~、ちょっと待ってよふたりとも~」

遅れてやってきた紅葉は、通園バッグや水筒、手提げを両手、両肩に抱えている。びっくりするほど大荷物。そういえば今日は週末、シーツやタオルのお持ち帰りデーだった。

「もみじにいちゃん、わるものいるよ!」

「やっつけてえ~……」

紅葉はすっかりまいった顔で「いやいや、だから、この人はママのお友だちだって」と説明する。

すると、皇樹さんがこちらにやってきて、私の前に――正しくは子どもたちの前に膝をついた。

「ママをいじめに来たんじゃない。俺はママを助けに来たんだ」

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