御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
すると、皇樹さんが柑音の頭の上に手を置いた。

自分の上でポンポンと優しく跳ねる大きな手を、柑音はぽかんと見つめる。おかげで涙は吹き飛んだみたいだ。

「ママは、毎日ひとりでがんばっているのか……?」

皇樹さんがわずかに声を震わせながら、ふたりに尋ねた。

「もみじにいちゃんがいるよ」

「もみじにいちゃんがパパ?」

「ちがうよ、もみじにいちゃんは、『オジサン』だよ」

傷口を抉られた紅葉が小声で「オジサンじゃなくてお兄さんなー」と控えめに訂正する。

「パパはいないけど、ママがパパなんだよ。ママがパパになるって、いってた!」

柑音より少しだけお喋りが得意な柚希が、得意げに説明する。

それは私が日頃、ふたりに言い聞かせていた言葉だ。『どうしてパパがいないの?』という素直な質問に『パパはいないけど、その代わりにママがパパにもなるから。大丈夫だよ』と。

皇樹さんはふたりの会話から様々なことを読み取ったのだろう。

「そうか。ママはパパの分も、頑張っていたんだな」

そう整理するように呟いて、再び真摯な目でふたりを順番に見つめる。

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