御曹司様、あなたの子ではありません!~双子ベビーがパパそっくりで隠し子になりませんでした~
彼の前から姿を消す決断をして、二カ月。

そっとお腹に手を当てて目を瞑る。ここに愛の証が宿ったと伝えれば、彼はすべてを投げ打ってでも私を選んでくれたかもしれない。

彼のかつての言葉が脳裏をよぎる。

――身を引くのはもうナシだ――

「でも、これまで皇樹さんが積み上げてきたもの、すべてを犠牲にしなければ成り立たない未来なんて、幸せとは呼べないと思うの」

これまで跡継ぎになるためにどれだけ努力してきたか知っている。すべてを捨てて私への愛を選んでほしいなんて、とても言えない。

――私は皇樹さんが誇らしいんです――

彼の長年の努力を後押ししたい。たとえ自分が身を引くことになっても。

「ごめんなさい」

残酷な運命を強いてしまった子どもたちに、懺悔をする。

……でも、必ず私が幸せにするから。どうか生まれてきて。

きゅっと自身を抱きしめて、お腹に宿るふたつの命に誓いを立てた。




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